ツボっていったい何だろう
「指圧ってツボを圧すんですよね?」そんな風によく質問されます。
じつはこの質問、ぼくにとっては「はい」とも「いいえ」とも答えにくい。そもそも「ツボ」っていったいなんでしょうか。ちょっとゆっくり考えてみましょう。
ツボって言葉そんなにつかわない
一般的に使われる「ツボ」という言葉。じつはそんなに治療家同士では使いません。「ツボ」は、東洋医学の経穴や、リフレクソロジーの反射区など様々な概念がごちゃまぜになっている言葉です。
今回は代表的なツボである「経穴」について考えてみましょう。
経穴とは
「けいけつ」と読みます。
東洋医学では人間は身体中に「気」が通っているとされています(経絡)。その気の流れが体表に出てきているのが「経穴」です。
この経穴を刺激することによって気の流れを整える、という発想が東洋医学の経絡療法です。雑誌などで「目が覚めるツボ」「肩こりが治るツボ」などといって紹介されているのはだいたい東洋医学の経穴です。
気の世界を信じられる?
たとえば雑誌に書いてある「目の覚めるツボ」を圧しても、眠気ってほとんどとれないですよね。本気で経穴の効果を得ようとするのは非常にむずかしいです。
なにしろ対象としているのが「気」の世界のことなので、検証がしにくい。主観から主観の世界なので、先生によって見立てが全然違ったりするのがふつうです。その辺りの複雑さ説明すると「虚実」とか「証」とかもっと複雑な概念を使って説明することになります(ずぶずぶ…)。
解剖学的な目安として
それでは「経穴」は単なる迷信なのか、というとそんなこともありません。経穴は西洋医学的にみると「筋肉の接合部」「神経を刺激しやすいところ」「筋肉が非常にこりやすいところ」になっていることがほとんどです。
施術を西洋医学的寄りに考える人でも、施術のポイントの目安として「経穴」を使っています。
「大腿後面の真ん中あたり、大腿二頭筋と半腱様筋の間あたりをマッサージして欲しいな」と思ったら「殷門(いんもん)あたりをマッサージして!」という風に指示を出す方が簡単なわけです。解剖学的に施術を進めていっても、結果的に経絡に沿っての施術になっている、ということもよくあります。
ふしぎ、といえばふしぎだし、結局あまり進歩がないね、といわれればその通りかもしれません。
「指圧ってツボを圧すんですよね?」
僕はあまり東洋医学寄りの考え方で施術を行っていません。なので冒頭の質問には「基本的には身体の動きや筋肉を診て施術をしているんですけれども…でも結果的にツボ圧してますね!」って答えています(実際施術中にこういう雑談よくある)。
いつもフワッと煮え切らない回答になっちゃっているなーと思っているのですが、ぼくの中にはこういう考えがあるんです。
斎藤充博
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