Vol.9 薬嫌い
薬とは、病気や傷を治療するために服用したり塗布したり注射したりするものとされています。(広辞苑より)そう、適切に使用すれば、大活躍のお助けマンになってくれるのです。
嫌薬主義
そんなお助けマンのはずの薬ですが、結構居るのですよね。薬が嫌いという人。どんなに頭が痛くても、鼻水が出ても、薬は絶対に使わない。絶対に治療が必要な場合までも、とにかく薬は使いたくないという方がいます。これってどうしてでしょう。
薬嫌いは大きく3つに分けることができると思います。
・副作用がこわい
・日常生活が問題ない
・なんとなく怖い
当てはまる方、いらっしゃいましたでしょうか。
私がこれらの理由について思うことは、勿体ないなあ、ということです。治療を受けたら楽になるのに、治療を受けるべきなのに、曖昧な理由からそれを拒否してしまう。う~ん、本当に勿体ない!
ちょっとだけ、嫌い嫌いと言われる薬のフォローをさせてください。
副作用が恐い
「昔何かしらの副作用が出た」「周りで副作用が出た人の話を聞いた」「テレビで副作用の話を聞いた」。そういったことから、薬自体を怖く感じてしまう方がいらっしゃいます。
実際に薬の副作用が起きたことがあり対象の薬を飲まないというのは、リスク回避の一つとして良いと思います。しかしながら、人から聞いたことだけで全ての薬を避けてしまうのは勿体ないと思います。
例えば、タミフルという薬があります。小児の異常行動で話題になったことでも有名ですが、実はタミフルと異常行動とのその詳しい因果関係は分かっていません。タミフルではなくインフルエンザ症状の高熱が原因ではないかという話もあります。
テレビで見たから、という理由だけでインフルエンザの際の治療拒否をしてしまうと、大変辛い症状に耐えないといけないことは容易に想像つきます。
薬の信頼性について正しく判断するためには、まずはその薬について知ることが必要だと思います。
日常生活が問題ない
「検査値などは高かったが、無症状であるため様子を見ている。」「何か症状はあるが日常生活は過ごせるため、様子を見ている。」これも多い理由になっています。薬の金銭的な圧迫、日常の忙しさなども相まって薬を服用するのを見送る方もいらっしゃいます。
ですが、これが大変怖いものなのです。例えば糖尿病。日本では、糖尿病の疑いがある人のうちおよそ4割もの人が治療を全く受けていないというデータがあるのです。その理由としては、血糖値が高くても症状が出にくいというのが大きいと思います。
しかしながら、そんな糖尿病を放っておくと、様々な影響が出てきます。免疫力の低下、手足のしびれ、網膜障害、さらには腎障害の悪化により、最悪の場合透析へ。。。なんて可能性もあるのです。
現在だけでなく、将来も健康でいるためには、必要な治療を必要な時に選択すべきなのです。
何となく恐い
「親や祖父母に怖いと教えられて育った」「サプリメントや健康食品の方が体にいい気がする。薬は怖い。」こんな話をよくききます。どうして怖いかと理由を聞いていくと、なんとなくの不信感がそこにあるのです
ここでの例えは、私の話にしましょう。私の家は「薬は怖いものだ」という方針だったため、アトピーは濡れタオルで治す、喘息には蜂蜜の入った白湯を飲む、なんて少女時代を過ごしました。その結果、みごとな嫌薬主義になったのでした。薬なんてなくても自分で治せると。でも、なんの因果か薬剤師になり、薬のことを知るほど、薬の良さをシミジミ感じるわけです。アトピーは適切にステロイドを使用する方が早く治り痕が残りにくいし、喘息なんてもってのほか!下手したら喘息死する方もいるため、絶対に服薬でコントロールすべきなのです。
薬ってクーラーみたいなもの
「薬は悪」というイメージって、「クーラーは悪」というイメージと、同じようなものだと思います。クーラーを使いすぎたら良くないという反面、クーラーを使わないことでお年寄りが熱中症でバタバタ倒れている事実、クーラーを使ったら快適に過ごすことが出来る事実がある。知識を得ると、便利に付き合っていけるものです。
薬が好きで無暗やたらに使用したりそれに依存してしまうのは良くないでしょう。
でも、逆に、結果的に辛い思いをしている人を見ると言いたくなります。薬はそんなに悪くないんだよ~~って。
もし薬についての不安があれば、町の薬局へ行ってみてください。私みたいなやつでよければいつでもその不安を聞きます。
薬が、あなたの人生の味方になりますように。
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